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初歩から学ぶ英語会話

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6.“A or B?” “A (名詞), please.” : イントネーション

まず、前回の上昇調イントネーションの復習をしよう。上昇調のイントネーションは、主に判断を相手にゆだねるときに使い、なだらかに上昇することが特徴である。トーンが上がり始めるのは文末、あるいは句末の文強勢のところである。すなわち、文末や句末の内容語のアクセントの位置からトーンが上昇し始め、文末や句末にかけて徐々に上がっていくのが上昇調イントネーションである。

それでは、下降調イントネーションとは、どういうものだろうか? 
*文を言い切って、そこで文が終わることを告げる。
*自分の意志をはっきり伝える。
*新しい情報を相手に伝える。
日本語なら「です」「ます」「だ」などの助動詞が担う働きを、英語では下降調イントーネーションが引き受けていると言ってよい。その音の特徴はトーンが急降下するところにある。トーンの変化する位置は、上昇調と同じく文末や句末の文強勢のところ、すなわち、文末や句末の内容語のアクセントの位置である。


文の場合、下降調イントネーションのトーンは、いったん上昇して、その後、急降下する。その特徴から、Cllifford H. Prator, Jr. と Betty Wallace Robinett は、著書 Manual of Mmerican English Pronunciation の中で 下降調を “Rising-Falling Intonation”と呼び、そのパターンは、1. または、2. のようになるとしている。
最後の文強勢のあとにシラブルがあれば
situation is difficult
のような形になり、文強勢が文の最後のシラブルにあるならば
coffee
の形になるというのである。

日本語では助動詞を使い分けることで表す意味を、英語ではイントネーションで表現するので、一見、同じように見える句や文も、意味が違うことがある。たとえば、“名詞, please” という句:
 名詞(), please? 「名詞をお願いしていいでしょうか」
 名詞(), please. 「名詞をお願いします」

上昇調と下降調のイントネーションの意味合いと特徴を念頭におきながら、次の会話をを聞いてみよう。下記のサンプル音声は銀行で口座を開設したいという客に、銀行員が口座の種類を尋ねる質問と、それに対する 客の応答の音声である。

サンプル音声 1 銀行員:Checking or savings?
サンプル音声 2   客:Checking, please.

銀行員のセリフは、 “Checking” のところでイントネーションが上昇し、 “or” のところで若干下がるが、 “savings” の「セイ」のところはかなり高いトーンで「ヴィングズ」のところでかなり低いトーンに急降下する。このトーンの急降下が下降調のイントネーションである。 “A() or B()?” というイントネーションのパターンは選択肢が A と B に限定されるときに使い、「 A ですか。それとも B ですか」と尋ねる。Bのところで下降調のイントネーションになっていることが、Bで終わりですよという感じを伝えている。したがって、ここでは「当座預金口座になさいますか。普通預金口座になさいますか」と2種類の口座からひとつ選択することを客に求めているのである。

そこで客は “Checking, please.” 「当座預金口座をお願いします」と選択している。イントネーションは、
Checking, please.
とコンマの前を下降調にして、自分の意志をはっきりと示している。大事なのは、コンマの前の情報である。ここを上昇調にすると判断を相手にゆだねることになる。ここでは「当座預金口座をお願いしていいでしょうか」と選択の判断を銀行員にゆだねることになる。名前を言うか言わないか、判断を相手にゆだねる “Your name, please?” と同じイントネーションになるのである。

聞き手の耳には、後ろの音ほど残るので “~, please.” のイントネーションに気をとられがちになる。しかし、 “~, please.” にはいくつかのイントネーションがあり、強調しない限り、どのイントネーションを使っても大差はない。 “~, please.” 自体がすでに述べたことに少々丁寧さをつけ加えるだけで、重要な発言情報を含んでいないのである。ここにあげた音声のように軽く上げるとやわらかい印象を与え、軽く下げると少し強くお願いする感じになる。低いトーンのまま平に、“, please(→).”とつけ加えることもある。

“A or B?” の句についても異なるイントネーションのパターンがある。
 A() or B()? 「A それとも B ですか」
 A() or B()? 「A とか B とか、何かないでしょうか」「A とか B とか、何かいかがでしょうか」

さらに以下の会話を聞いてみよう。銀行員が客に身分を証明するものの提示を求めるところである。
サンプル音声 3 銀行員:Do you have any ID? Perhaps a driver's license or a passport?
サンプル音声 4   客:I have my passport.

“Do you have any ID?” は、Yes-No疑問文の典型で上昇調。“Perhaps” は文修飾の副詞で下降上昇調(降昇調)。アクセントのある “a” のところでトーンが下降した直後、少しだけ上昇する。トーンが上がるというのは、相手に判断を求めるとき以外に、まだ、続きがあるんですということを意味することがある。“a driver's license or a passport?” は、“license” のところでいったんトーンが上昇し、 “or” のところで若干下がるが、 “passport” の “a” のところから文末にかけて再び上昇し、まだ何か続きがあることを意味する。この “A() or B()?” というイントネーションのパターンは「A とか、 Bとか何か(ありませんか)」と選択肢が A, B 以外にもありうることを示すもので、ここでは「運転免許証かパスポートか、あるいはその他、何か身分を証明するものをお持ちではありませんか」と尋ねているのである。

それに対し、客は “I have my passport.” 「パスポート、持ってます」と 下降調で答えている。“passport” では、「パス」の部分が高く「ポート」の部分がかなり低くなっている。日本語で「パスポート」と言うときはそんなにトーンを変えないので、慣れないうちは意識して練習する必要のあるイントネーションである。

イントネーションが上昇調か下降調かで、相手に判断をゆだねるのか、こちらの意思をはっきりと示すのか、あるいは、もっと言いたいことがあるという含みを持たせるのか、はっきりと言い切ってしまうのか、言葉の意味するところは違ってくる。一見、同じような形の句や文がイントネーションの違いで異なる意味を持つのである。

こうしたイントネーションのパターンと意味を学ぶのには二通りの方法がある。ひとつは音声を何度も聞くことによって、自然に身につける方法で、もうひとつは説明を聞きながら音声を聞いたりリピートしたりして意識的に学ぶ方法である。前者だと学ぶのに時間がかかるし、音を聞く能力は人によって異なるので、人によっては何度聞いても、なかなかイントネーションの違いを学べない人もいる。

日本人が英語を外国語として学ぶ場合、 後者の方がいいのではないだろうか。上昇調、下降調、下降上昇調(降昇調)のような基本的なイントネーションを要所、要所で説明する程度でかまわない。英語の授業中、音声を聞いてリピートするのは、学習者は普通にしていることなので、そこに時々、イントネーションの説明が加わっても学習者にとっては負担ではないし、イントネーションによる意味の違いなども理解しやすくなる。ただし、それには、このようなイントネーションの違いを先生が説明しなければならず、説明ができる先生を養成する必要がある。 それはそれで長い道のりのように思える。学習者の迂回路を短縮するには、それなりの負担を覚悟しなければならない。

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